星の世紀エンドを理解する上で欠かせないのが「夜の律」です。
ラニ曰く「夜の律をこの地から離したい」とのことですが、これは何を意味しているのでしょうか。
そこでこの記事では、夜の律と星の世紀エンドの正確な解釈について考察していきます。
前提知識
夜の律と星の世紀エンドを説明する前に、いくつかの前提知識を記載しておきます。
・生命=魂+肉体+意志
・律=運命=円環
・黄金律=魂と肉体が黄金樹に記録されることで輪廻転生する律
これらの前提知識は黄金律に関する記事で解説しています。
生命が肉体と魂と意志で構成されることはこちらの記事で解説しています。
ひとまず、これらを前提として以下の考察を読んでいって下さい。
夜の律とは
まず、夜の律について解説していきます。
結論を先に言うと、夜の律とは、月に導きによって魂が星を経て新しい生命となる律(=運命=円環)であると考えられます。
雑にいうと、黄金律における黄金樹が星に置き換わったものであると考えられます。
「いきなり月と星??」という方も多いかと思います。
以下で詳しく解説していきますのでご安心ください。
まず、夜の律について一番参考になるのが、ラニの以下のセリフです。
ラニ
もう少し、話しておこうと思ってな
私の律について
私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ
…私はそれを、この地から遠ざけたいのだ
生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥かに遠くにあればよい
確かに見ることも、感じることも、信じることも、触れることも
…すべて、できない方がよい
だから私は、律と共に、この地を棄てる
それでも、付いてきてくれるのだろう?ただ一人の、私の王よ
「星と月、冷たい夜の律」とあるように、夜の律は星と月が関係してきます。
では、エルデンリングの世界観において星と月は何を表しているのでしょうか?
そこで、まず以下の3点について考えていきたいと思います。
考察するべき点
1, 星と月の関係
2, 星とは
3, 月とは
1, 星と月の関係
ELDEN RINGの世界観において、月は星に対して上位の関係(月>星)であると解釈されます。
月>星であることは、「ノクステラの月」のテキストで示唆されています。
ノクステラの月
永遠の都、ノクステラの秘宝
それは、彼らが失くした黒い月を模している
ノクステラの月は、無数の星を従えていた
「月は、無数の星を従えていた」というテキストから、月>星という関係性が示唆されます。
また、カーリアの月の魔術がレアルカリア学院の星の魔術を魅了したことも、月>星を暗示していると考えられます。
レナラの満月
カーリア女王の象徴となる魔術
女王レナラが、その幼き日に出会い
後に学院を魅了した、美しい月である
また、狭間の地から見える月は星よりもかなり大きいことも、月>星を暗示しているのかもしれません。
以上の考察から、月>星の関係であると考えられます。
2, 星とは
続いて、星について考えてみたいと思います。
結論を先に言うと、星=魂+石(+意志)であると考えられます。
星とは何かについて考察する際に参考になるのが、以下のセレンの発言です。
セレン
我らの魔術は、輝石の内に力を見出し、それを振るう術だ
では、その力とは何であるのか?
…輝石とは、星の琥珀なのだ
金色の琥珀が、古い生命の残滓を、その力を宿しているように
輝石には、星の生命の残滓、その力が宿っているのだよ
覚えておくがいい
輝石の魔術とは、星と、その生命の探求なのだと
上テキストの「星の生命」という表現から、星には生命(=魂+石)が宿っていることがわかります。
続いて重要な用言が「琥珀」です。
我々の世界で言うところの「琥珀」とは、樹脂が長い年月をかけて石になったものです。
つまり、「輝石とは、星の琥珀なのだ」という表現から、星は長い年月をかけると輝石になると解釈できます。
以上の手がかりをまとめると、星は魂と石が混ざったものであり、長い年月をかけて魂と石が完全に融合することで輝石になるのだと解釈できます。
こう考えると輝石魔術の源流についても理解が深まります。
輝石魔術の源流とは、本来長時間かかるはずの魂(+意志)と石に融合を短期間で実現する魔法であると解釈できます。
輝石魔術が輝石から生命の力を取り出す魔術であるのに対して、輝石魔術の源流は生命の力を輝石に戻す魔術というわけです。
魔術師球のタリスマン
魔術師球と呼ばれる
学院の悪夢を象ったタリスマン
魔術の威力を高める
輝石魔術には、源流という禁忌がある
魔術師を集めて星の種となす
源流では、これは探究の一手段なのだ
「魔術師を集めて星の種となす、源流では、これは探究の一手段」という表現から、魂と石を混ぜることで星(=輝石の源)を作り出してから、魂と石の融合をすることが輝石魔術の源流であると解釈できます。
また、輝石魔術の源流の理想が無機物(=石)の生命化(=魂と意志との融合)であることが「砕け散る結晶」のテキストで示されています。
砕け散る結晶
無機物でありながら、生命でもある
結晶人のあり様は、源流の理想に近しく
彼らは、魔術師たちの賓客であった
また、輝石魔術の源流を研究していたセレン、アズール、ルーサットは、自らの魂を輝石に融合させていました。
以上の考察から、星は魂と石(と意志)が混ざったものであり、魂と石(と意志)が完全に融合することで輝石になるのだと解釈できます。
3, 月とは
先程、月>星の関係があると述べました。
言い換えると、月は星を導くものであると考えられます。
では、月が星を導くとは具体的に何を指しているのでしょうか?
この問いに答えるために、まず満月と暗月について考察していきます。
結論を言うと、満月は星に対する引力、暗月は星に対する斥力を反映していると考えられます。
これは、白王(=満月側)と黒王(=暗月側)の対応から示唆されます。
まず、白王が満月側であることは、満月の女王レナラの子供であるラダーンに重力魔法を教えていることや、レアルカリア学院に白王が出現することからわかります。
そして黒王が暗月側であることは、黒王がアステール(=暗月側)と関連していることからわかります。
まず、アステールが暗月側である根拠を説明します。
暗黒の落とし子の追憶
遥か彼方、光の無い暗黒で生まれた星の異形
それはかつて、永遠の都を滅ぼし
彼らから空を奪った、悪意ある流星である
輝石の氷塊
老魔女は、幼少のラニに教えたという
冷たい魔術と、暗い月への恐れを
上のテキストから、アステールが光の無い暗黒(=暗月)で生まれ、恐れの対象であったことがわかります。
そして重要な点が、アステールの手足が合計で6本であると言う点です。
この手足が6本というのは、ラニの人形のモデルであり暗月の恐れを説いていた老魔女や、月の貴族の廃墟に出現するモブ敵に共通する特徴です。
したがって、アステールは暗月から生まれた存在であると考えられます。
そして黒王がアステールと関連していることは、黒王が使う魔法とアステールが使う魔法が同じであることや、イエロ・アニス坑道に出現するアステールは黒王が管理しているような描写からわかります。
(イエロ・アニス坑道に出現するアステールは、永遠の都ノクステラの地下深くに封印されているアステールとは異なり、簡単な柵で閉じ込められているだけで、さらにその柵の近くに黒王が配置されている)
長くなりましたが、以上の考察から白王(=満月側)と黒王(=暗月側)の対応関係があることがわかります。
そして、ゲームをプレイした方ならわかると思いますが、白王は「白王の引力波」、黒王は「黒王の斥力波」を使用してきます。
したがって、満月は星に対する引力、暗月は星に対する斥力を表していると考えられます。
そうすると、月が星を導くとは、満月の引力で月に引き付けられていた星が、暗月の斥力で狭間の地に降ることを指していると解釈できます。
4, 星と月、冷たい夜の律
さて、星と月について考察できたので、いよいよ「夜の律」について解説していきます。
ここでラニの発言をよく見ると、「夜の律」とは「星と月、冷たい夜の律」のことでした。
まず、「冷たい」というワードに注目してみます。
この「冷たい」というワードですが、他の場面では「冷たい太陽=日食」を表すときに使われています。
ソール砦の霊
ソールの冷たい太陽よ どうか蝕まれ給え 魂無き骸に再誕を
したがって、「冷たい夜=日食」を表していると考えられます。
なぜなら、ゲーム中の月は満ち欠けしないのに対して、太陽は朝昼夜があることからわかるように移動しています。
つまり、狭間の地の月の光は太陽光の反射ではなく、暗月を引き起こすには太陽が月の真後ろに来る(=月が相対的に暗くなる)必要があると考えられます。
したがって、エルデンリングの世界における暗月とは日食を表していると考えられます。
そして「冷たい夜=日食」と考えることで、先程の「魂無き骸に再誕」というセリフを解釈できます。
つまり、日食の時に星(=魂+意志)が狭間の地に落ちることで、星になっていた魂と意志を再び律に戻す(=再誕する)ことができると考えられます。
蝕紋の大盾
蝕の太陽が描かれた、金属の大盾
首のない、霊廟騎士たちの得物
蝕まれ、色を失くした太陽は
魂無きデミゴッドの守護星であり
彼らを、運命の死から遠ざけるという
琥珀色の星光
琥珀色に輝く、儚い細片
束の間に流れた星光の残滓
星光が運命を司るとすれば
琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ
特別な精薬の材料となる
人の身で口にすることはできない
実際、エルデンリングDLCのユミルのイベントで、暗い夜に星が降り注ぐことが示唆される発言も登場しました。
ユミル
今宵、星空はとても暗い
けれども、それは決して凶兆ではない
私には、思えるのです。それは、大いなる輝きが降り注ぐ夜の、前触れであると
以上の話をまとめると、「星と月、冷たい夜の律」とは「月の引力で空に留められていた星(=生命)が、日食(=暗月の一種)の時に狭間の地に降り注ぐことによる生命のサイクル(=円環=律=運命)」であると考えられます。
五火説について
エルデンリングの世界における魂の動きは「五火説」に基づいているのだと予想されます。
wikipediaによると「五火説」以下の通りです。
五火説
五火説とは、五つの祭火になぞらえ、死者は月にいったんとどまり、雨となって地に戻り、植物に吸収されて穀類となり、それを食べた男の精子となって、女との性的な交わりによって胎内に注ぎ込まれて胎児となり、そして再び誕生するという考え方である。二道説とは、再生のある道(祖霊たちの道)と再生のない道(神々の道)の2つを指し、再生のある道(輪廻)とはすなわち五火説の内容を示している。
「死者は月にいったんとどまり、雨となって地に戻り」という部分は、ここまでで解説した「星となった死者の魂が月の導きで地上に放り注ぐこと」に対応しています。
そして、「植物に吸収されて穀類となり」の部分は、「祖霊の王が魂を吸収して生命を芽吹かせること」に対応しています。
また、「再生のない道(神々の道)」という部分は、「琥珀色の星光」のテキストにおいて「神々の運命」と表現されています。
琥珀色の星光
琥珀色に輝く、儚い細片
束の間に流れた星光の残滓
星光が運命を司るとすれば
琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ
特別な精薬の材料となる
人の身で口にすることはできない
以上の考察から、エルデンリングの世界における魂の流れは「五火説」に基づいているのだと考えられます。
星の世紀エンドとは
最後に星の世紀エンドの正確な解釈について考察してみます。
結論を先に言うと、ラニが月を遠くに持っていくことで、日食の周期を千年に延ばした状態が星の世紀エンドであると筆者は考えました。
この筆者の解釈で、以下のラニの発言を解読してみます。
ラニ
もう少し、話しておこうと思ってな
私の律について
私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ
…私はそれを、この地から遠ざけたいのだ
生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥かに遠くにあればよい
確かに見ることも、感じることも、信じることも、触れることも
…すべて、できない方がよい
だから私は、律と共に、この地を棄てる
それでも、付いてきてくれるのだろう?ただ一人の、私の王よ
「星と月、冷たい夜の律をこの地から遠ざける」
→ラニが暗月を遠くに持っていくことで、星と月、冷たい夜の律を狭間の地から遠ざけた。
「生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥かに遠くにあればよい」
→律自体を破壊したわけではないので、生命と魂は、星→落下→生命→星というサイクル(=律)と共にある。
「確かに見ることも、感じることも、信じることも、触れることも、…すべて、できない方がよい」
→星が落下するのは千年の旅なので、星→落下→生命→星というサイクル(=律)は見えないも同然。
「だから私は、律と共に、この地を棄てる」
→ラニが月と共に狭間の地を捨てること。
ラニ
…すべて、終わったのだな
私は誓おう
全ての生命と、すべての魂に
これよりは星の世紀
月の理、千年の旅
すべてよ、冷たい夜、はるか遠くに思うがよい
恐れを、迷いを、孤独を
そして暗きに行く路を
さあ、行こうか
…永遠なる、私の王よ
「これよりは星の世紀」
→星が千年かけて狭間の地に落下する時代。
「月の理、千年の旅」
→遠くにある月が千年間にわたる星の動きの理となる。
「すべてよ、冷たい夜、はるか遠くに思うがよい」
→冷たい夜(=日食)は千年に一度しか来ない。
「恐れを、迷いを、孤独を、そして暗きに行く路を、さあ、行こうか…永遠なる、私の王よ」
→月を遠くに持っていく路は、恐ろしく迷いに満ち、孤独で暗いが、一緒に進もう、私の王よ。
おわりに
以上で夜の律と星の世紀エンドの解説と考察を終了いたします。
エルデンリングはストーリーの説明が極端に少ないので、なかなか全貌を把握しにくいですよね。
そこで他の記事では、エルデンリングの全エンディングの解説や、エルデンリングのストーリー全体の解説などもしています。
また、一覧は以下です。
<神・王・女王>
大いなる意志、二本指・三本指、エルデの獣
マリカ・ラダゴン、ゴッドフレイ&ホーラ・ルー、満月の女王レナラ
竜王プラキドサクス、宵眼の女王
<デミゴッド>
聖樹のミケラ、腐敗のマレニア
魔女ラニ、星砕きのラダーン、冒涜の君主ライカード
死王子ゴッドウィン、血の君主モーグ、忌み王モーゴット
接ぎ木のゴドリック
<NPC>
メリナ、聖女トリーナ
死衾の乙女フィア、忌まわしき糞喰い、輝ける金仮面、百智卿ギデオン
シャブリリ、ハイータ
魔術師セレン、魔術教授セルブス、エンシャ、ネフェリ・ルー
タニス、ラーヤ
ブライヴ、イジー
白面のヴァレー、背律者ベルナール、血の狩人ユラ
しろがねのラティナ、アレキサンダー、ディアロス、トープス、ミリセント&ゴーリー、円卓の騎士ヴァイク、ヒューグ、ローデリカ、亜人のボック、死を狩る者D、パッチ、ロジェール、ゴストーク、ケネス・ハイト、復讐者エドガー
<ボス・敵>
黒き剣のマリケス、神肌の使徒、巨人、ラダゴンの赤狼、アステール、祖霊の王
白王・黒王、しろがね人、銀の雫、死儀礼の鳥、ミミズ顔
<その他重要な要素>
エルデンリング、黄金律、褪せ人、忌み子、坩堝、死のルーン、破砕戦争、陰謀の夜、エンディング
<DLC>
影の地、神の門
串刺し公メスメル、双月の騎士レナーラ、蕾の聖女ロミナ、宿将ガイウス、指の母メーテール、暴竜ベール、神獣獅子舞、黄金カバ、泥濘の騎士、指の母ユミル
針の騎士レダ、落葉のダン、ティエリエ、純血騎士アンスバッハ
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