エルデンリングの最重要ワードの一つが「黄金律」です。
「黄金律=誰も死なない世界」というイメージはあると思いますが、正確な意味を理解できている人は少ないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、黄金律の正確な解釈について考察していきます。
予備知識
黄金律について説明する前に、いくつかの予備知識について解説していきます。
1, 生命 = 魂 + 肉体 + 意志
ELDEN RINGの世界観における魂と肉体と意志について言及したいと思います。
結論だけ言うと、ELDEN RINGの世界観では「生命=魂+肉体+意志」という式が成り立つと考えられます。
生命が魂と肉体と意志で構成されていることは複数のテキストで示唆されています。
死の呪痕
ラニは、肉体だけの最初の死者であり
故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ
写し身の雫の遺灰
召喚者の姿を模倣し、戦う霊体
ただし、その意志までは模倣できない
永遠の都が、王を創らんとした遺物である
双児装備
黄金と白銀、絡み合う双児を象った兜
分かたれぬ双児、Dは二人いる
二つの身体、二つの意志、そしてひとつの魂
共に起きることはなく、言葉を交わすこともない
…この鎧は望んでいるだろうか
もう一人の、Dの元にあることを
ひとまず、「生命=魂+肉体+意志」という式を頭に入れて以下の考察を読んでいって下さい。
2, 運命の死とは
次に、運命の死についても説明しておきます。
ELDEN RINGの世界観では、普通の死と運命の死は異なるものを指していると考えられます。
わかりやすく言うと、「普通の死=律に導かれる」、「運命の死=律に導かれない」を指していると考えられます。
例えば、「普通の死」を迎えた生命は律に導かれて新しい生に到達するの対して、「運命の死」を迎えた生命は律に導かれないためどこにも到達することができません。
ここで重要な点は、律(=運命)とは円環(=リング)になっていることです。
律=円環を表している最もわかりやすい例は、エルデンリング(=エルデの律)でしょう。
また、死王子の修復ルーンは2つの半円を合わせて円環となったものでした。
つまり、円環となることで初めて律になることがわかります。
死王子の修復ルーン
それは、2つの欠環が合わさった聖痕であり
死に生きる理を、律の一部とするものである
黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった
ならば新しい律は、死の回帰となるであろう
死の呪痕
月の王女ラニの、棄てた肉体に刻まれた呪痕
百足傷の欠環とも呼ばれる
呪痕は、デミゴッド最初の死に刻まれ
円環を為すはずである
だが、デミゴッド最初の死者は二人あり
呪痕は2つの欠環となった
ラニは、肉体だけの最初の死者であり
故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ
したがって、運命の死とはこの円環(=律)が破壊された状態のことを指していると考えられます。
特に、黄金律における運命の死とは、肉体が消滅することであると考えられます。
後述しますが、黄金律においては同じ肉体に魂と意志が宿る必要があります。
しかし、元の肉体が消滅してしまっては同じ肉体に魂と意志が宿ることができません。
したがって、黄金律おいては肉体の消滅が運命の死となるわけです。
3, ルーンとは
さらに、ルーンとは何かについても言及しておきます。
筆者の考えでは、ルーンとは魂(≒ エネルギー ≒ 律)のことです。
以下で根拠を述べていきます。
まず「ルーン ≒ 力の源 ≒ エネルギー」であることが、メリナの話からわかります。
メリナ
では、ルーンを力にするときは、祝福で私を呼び出してほしい
そして、「ルーン ≒ エルデンリング=律」であることが、エンヤの話からわかります。
指読みのエンヤ
褪せ人よ、お主の持つ大ルーンは、エルデンリングの大欠片
また、魂には律が宿ることがラニの話からわかります。
ラニ
生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥かに遠くにあればよい
以上の対応関係から、「ルーン ≒ 魂 ≒ エネルギー ≒ 律」であると考えられます。
「ルーン=律の持つエネルギー」であると考えると、エンディング分岐の際に壊れかけのマリカをルーンで修復することも理解できます。
マリカは幻視の器(=空っぽの律の器)であったため、そこのルーン(=律の持つエネルギー)を流し込むことで、新しい律が完成するというわけです。
また、「ルーン=律の持つエネルギー」と考えると、各デミゴッドが持っている大ルーンがそれぞれのデミゴッドの律を反映していると理解できます。
ゴドリックやモーゴット、ラダーンの大ルーンは色が黄色に近く、黄金律の力を反映していると考えられます。
モーグは外なる神の律(=火の律?)の力を反映して、大ルーンの色が赤くなっていると解釈できます。
マレニアは腐敗の律の力を反映して、大ルーンに腐敗のキノコが見えますし、ライカードは大ルーンを蛇に食わせた影響か形が歪になっています。
以上の考察から、「ルーン=律の持つエネルギー」であると考えられます。
黄金律とは何か
結論
さて、いよいよ黄金律とは何かについて考えていきます。
先に結論を言うと、筆者が考える黄金律の解釈は下図です。
つまり、黄金律とは「死ぬ→黄金樹に還る→新たな生」の律(=円環)のことであると考えられます。
まず、根拠となるのが以下のテキストです。
嵐の麓の地下墓の霊体
…正しい死とは、すなわち、黄金樹に還ることなり
待ちなさい。根が貴方を呼ぶ、そのときまで…
上のテキストから、黄金律に導かれた生命が普通の死を迎えた場合、魂と意志は黄金樹の根っこに吸収されて、再び生を得るのだと考えられます。
また、黄金律とは「死ぬ→黄金樹に還る→新たな生」の律(=円環)のことであると解釈すると、死に生きる者や回帰性原理、因果性原理についてもうまく解釈することができます。
以下で解説していきます。
死に生きる者とは
死に生きる者とは、魂と意志が肉体と分離してしまった者です。
先程、黄金律とは「死ぬ→黄金樹に還る→新たな生」の律(=円環)のことであると説明しました。
ここで、黄金律に導かれて新たな生を得るとき、魂と肉体と意志は同じものが引き継がれるのだと考えられます。
これは、我々褪せ人が同じ肉体で蘇ることや、蛮地で死んだと思われるホーラ・ルーが同じ肉体と魂と意志で蘇っていることから推察されます。
また黄金律において肉体が引き継がれると記載しましたが、正確には肉体が消滅しないと考えられます。
黄金律に導かれた肉体が消滅しないことは、「金糞」のテキストで示唆されています。
金糞
何者かの排泄物。金色の大便
アイテム製作に用いる素材のひとつ
森や茂みに、隠れていることが多い
金色の大便は安定性が高い
乾かず、その熱と臭いを失わず
それはずっと大便である
上テキストから、「黄金の大便が微生物によって分解されない=黄金律に祝福された肉体も永遠に腐らない」と結論できます。
だからこそ、肉体が消滅するなどの原因で、魂と意志が元の肉体に帰れなくなってしまった者は、死んでいるにも関わらず生きている者(=死に生きる者)と表現されるのだと考えられます。
死に触れた地下墓の霊体
…なんということだ。我らの死地が穢れている
おぞましい。黄金樹に還るを拒み、死んでなお生きるなどと
指読みのエンヤ
坊ちゃまは、死ぬべきでした
デミゴッド、その最初の死者として
運命の死に殉じるべきでした
それがなぜ、醜態を晒しておられますか
黄金の貴公子が、死に生きるなどと
ここで、「黄金律は死の概念を取り除くことで始まったのに、死が存在するのはなぜ?」という疑問をお持ちの方がいるのではないかと思われます。
しかし、よく確認してみると、黄金律が取り除いたのは死の概念ではなく「運命の死」です。
死王子の修復ルーン
黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった
黄金律は運命の死(=肉体の消滅)を取り除いているため、死に生きる者(=魂と意志が肉体から分離した存在)は黄金律にとっては忌むべき存在というわけです。
黄金樹の役割
ここで、黄金樹の役割について説明します。
結論を先に言うと、黄金樹の役割とは「記録」であると考えられます。
先程、黄金律に導かれて新たな生を得る時、魂と肉体と意志は同じものが引き継がれると説明しました。
この黄金律に導かれて新たな生を得る時に、黄金樹の記録をもとに魂と意志が元の肉体に戻されると解釈できます。
根拠となるのが、各ボスを倒した時に得られる追憶のテキストです。
エルデの追憶
黄金樹に刻まれた
エルデの獣の追憶
「黄金樹に刻まれた」という表現から、黄金樹の役割が記録であると考えられます。
回帰性原理と因果性原理の解釈
黄金律を説明する上で、解釈が難しいのが「回帰性原理」と「因果性原理」です。
回帰性原理
原理主義は、黄金律を二つの力で説明する
それ即ち回帰と因果であり、回帰とは
万物が不易に収斂しようとする、意味の引力である
因果性原理
原理主義は、黄金律を二つの力で説明する
それ即ち回帰と因果であり、因果とは
万物を関係性の連環となす、意味間の引力である
上テキスト中にある原理主義とは、黄金律の中でも過激派の思想である完全律に関するものです。
完全律の修復ルーン
それは黄金律を完全にせんとする
超越的視座のルーンである
現黄金律の不完全は、即ち視座の揺らぎであった
人のごとき、心持つ神など不要であり
律の瑕疵であったのだ
上テキストから、完全律とはある意味純粋な黄金律であると考えられます。
そしてこの完全律は回帰性原理と因果性原理から成るという話でした。
さて、回帰性原理と因果性原理の解釈ですが、筆者の考えを下図にまとめてみました。
回帰性原理の「万物が不易に収斂しようとする」というテキストは、全ての生命が黄金樹に回帰することを意味しているのだと考えられます。
因果性原理の「万物を関係性の連環となす」は、生命の営み(=因果)が黄金律を中心に展開されることを意味しているのだと考えられます。
つまり、回帰性原理と因果性原理(=原理主義=完全律)から成る世界では、全てが黄金律を中心に回ると考えられます。
おわりに
以上で黄金律の解釈に関する考察を終了します。
ELDEN RINGはストーリーの解説が極端に少ないので全貌が把握しにくいですよね。
そこで他の記事では、ELDEN RINGのストーリー全体の解説や、全エンディングの解説などもしています。
また、一覧は以下です。
<神・王・女王>
大いなる意志、二本指・三本指、エルデの獣
マリカ・ラダゴン、ゴッドフレイ&ホーラ・ルー、満月の女王レナラ
竜王プラキドサクス、宵眼の女王
<デミゴッド>
聖樹のミケラ、腐敗のマレニア
魔女ラニ、星砕きのラダーン、冒涜の君主ライカード
死王子ゴッドウィン、血の君主モーグ、忌み王モーゴット
接ぎ木のゴドリック
<NPC>
メリナ、聖女トリーナ
死衾の乙女フィア、忌まわしき糞喰い、輝ける金仮面、百智卿ギデオン
シャブリリ、ハイータ
魔術師セレン、魔術教授セルブス、エンシャ、ネフェリ・ルー
タニス、ラーヤ
ブライヴ、イジー
白面のヴァレー、背律者ベルナール、血の狩人ユラ
しろがねのラティナ、アレキサンダー、ディアロス、トープス、ミリセント&ゴーリー、円卓の騎士ヴァイク、ヒューグ、ローデリカ、亜人のボック、死を狩る者D、パッチ、ロジェール、ゴストーク、ケネス・ハイト、復讐者エドガー
<ボス・敵>
黒き剣のマリケス、神肌の使徒、巨人、ラダゴンの赤狼、アステール、祖霊の王
白王・黒王、しろがね人、銀の雫、死儀礼の鳥、ミミズ顔
<その他重要な要素>
エルデンリング、黄金律、褪せ人、忌み子、坩堝、死のルーン、破砕戦争、陰謀の夜、エンディング
<DLC>
影の地、神の門
串刺し公メスメル、双月の騎士レナーラ、蕾の聖女ロミナ、宿将ガイウス、指の母メーテール、暴竜ベール、神獣獅子舞、黄金カバ、泥濘の騎士、指の母ユミル
針の騎士レダ、落葉のダン、ティエリエ、純血騎士アンスバッハ
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